毛無峠キャンプ 小串の夜明け


訪問日:2014/9/15

とある秋晴れの土曜、バイクにテントを積んで群馬を出発した。
行先も、寝る場所も知らない気ままな旅。
気の向くまま、風の吹くまま走り続けて、辿りついた場所が目的地。

そんな旅の二日目。
長野県中野市のレトロなレストランで地図を見ながら考えていた。
もうすぐ日が暮れる、どこで寝ようか、と。
戸隠方面に行くか、北上して日本海を目指すか、うーん、どっちもパッとしない。

そうだ、万座に行こう!

万座の毛無峠での夜明けが綺麗だと、知り合いに聞いた事がある。
よっしゃ!毛無峠へ向け出発!!






そうと決まればと、一直線に毛無峠を目指す。
白根方面上空に掛かった厚い雲に不安を覚えるが、この時気分が最高にハイになっていたので「待ってろ万座あああああ!!!」と叫びながら標高を上げていった。






もうすぐ毛無峠。
雲が近くなる。
天気は大丈夫だろうか・・。






18:00頃、毛無峠到着。

ガスってる!!!

どうしよう。
9月とは言え、標高1823mの地にテントを張るともなれば気温の低下は免れない。
充分な防寒装備は準備済みだが、不安定な山の天気では些細な事が命取りになる。
霧に包まれた天気で一晩を過ごすのには不安を感じる。
麓まで降りてテントを張るか、ここでテントを張るか・・。






ともあれ久々の毛無峠だ。
日没までは猶予がある。
もう少し様子を見て決めよう。






ここで寝るか、麓に降りるか、なかなか決心が付かず、気が付けば日が暮れてしまった。
うーん、どうしよう・・。






その時、周囲の霧が流れ去り、空が澄み渡った。
西を見ると、今まで霧で見えなかった日の入りが見えた。

この美しい光景を見た瞬間、私はここでのテント泊を決意した。






テントを設営し、夕食の準備。
既に辺りは真っ暗。






スパゲッティを作った。
市販のバジルソースの味は、酒を飲みすぎて吐いた時の胃液とアルコールの混ざったゲロの味がした。



夕食を食った後、ふとヘッドライトを消して空を見た。
そこには満点の星空が広がっていた。

自分の他は誰も居ない標高1800mの陸の孤島。
言葉にできない程の美しい眺めだった。
星空と風の音を肴に、一人安酒を煽りながら空を見て過ごしていた。
お金に換えられない贅沢な時間。

カメラに星空を収めようかとも思ったが、この景色は写真では撮れない。
この状況で下手な写真を撮るのは野暮だと思い、この美しい光景を自分の記憶に焼付ける事にした。


夕食の後はやる事が無いのでテントに入る。
小説を持ってくるのを忘れたので本格的にやる事がない。

結局、テントから頭を出して眠くなるまで夜空を眺めていた。


そして夜は更け、床に就いた。
低山なら獣の鳴き声が気になるが、ここは木さえ生えぬ県境の峠。
獣一匹おらず、静かで、安心して眠れる。
天気も良く、最高の夜だ。



――――――


深夜0時頃目が覚めた。

妙に明るい。
テントから顔を出すと、頭上に月が登っていた。
月明かりに照らされシルエットになったバイクには薄い影が延びる。
時折吹く静かな風の音の他には一切の音の無い、静寂の世界だった。
それがとても心地良く、高原の大地に身を任せた。


そして再び睡魔に誘われ目を閉じる。


――――――










――――――



時刻は04:30、テントの中に携帯のアラームが響き渡った。
眠い目を擦りながらテントから出る。
空はまだ暗いが、東の空は仄かに明るみを帯びていた。






05:00
夜明けが始まる。






暗くぼやけてた世界が、次第に輪郭と色を纏う。
黄昏時に見た索道鉄塔と半日ぶりに再開。






風が吹き、草が擦れる。






燃えるような朝焼け。
闇夜に鮮烈な朱色が滲んだ。






薄明に照らされ周りの山の輪郭が浮かび上がる。
夜明けは近い。








朱色の雲を背にする索道鉄塔。
小串鉱山の閉山後、役目を終えながらも今尚この地で立ち続ける。
その堂々たる存在は力強く頼もしく、私が安心して眠れた一因とも言える。






空は黒から藍色に移り変わり、夜と朝との境界を映す。
一日で一瞬だけの光景。

誰も居ない秘境で見た夜明けは、言葉に出来ない程の感動を覚えた。
この感動は千の写真でも万の言葉でも伝わるはずがないが、私の拙い文と写真でその1%でも伝わればと思う。







夜から朝へと移り変わる。
藍色と朱色のグラデーションは刻々と比率を変える。
日が高くなれば消えて無くなる、今だけの景色。

世界で一番贅沢な時間を過ごしているだろうと、変わり行く景色を見ながらそう思った。






そして日の出を迎える。
東の空は雲が厚く、残念ながらご来光を拝む事は叶わなかった。
しかし、この日見た夜明けはとても美しく神秘的で、充分満足した。
ご来光はまだ次回のお楽しみにしておこう。






小串鉱山にも光が差し始めた。
かつては2000人が暮らした土地。
今では誰も居ない。






目まぐるしく色が変わる。
一瞬一瞬が新鮮で美しかった。






やがて、空から赤みが消え、薄暗い朝になった。






自分だけの時間が終わってしまったような気持ち。
どこか寂しさも感じる。






土鍋山に日が差し、シルエットだった山が色を持ち始める。

06:00頃から毛無峠に人が訪れるようになった。
どうやら今日が始まったようだ。
ちょっと一服と、カメラを置いてお湯を沸かしコーヒーを煎れる。
大きな岩の上に座りコーヒー片手に空が明るみを増していくのを眺めていた。






撮影を休憩し朝飯を食っていると、雲の切れ間から太陽が見えた。
もうあんなに日が昇ったのか。






朝焼けを見るという目的を達成したが、どこか名残惜しく鉄塔の写真を撮る事にした。






小串の大地は完全に朝になり、登山客の声やラジコンの音が聞こえる。






楽しい夜明けだったなぁ、と鉄塔を見ながら余韻に浸る。










洗練された造形美。
かっこいい。






割と今では多くの人が訪れる毛無峠。
私が初めて訪れたのは2010年ですが、当時と比べるとゴミが増えました。
最低限のマナーは守りましょう。






ここまで連れてきてくれた愛車と一枚。






さて、そろそろ出発しよう。
行先未定の気ままな旅はまだまだ続く。
バイクに跨り、まだ知らぬ目的地に向け走り出した。




―――――――



小串の夜明けは、風越龍さんのブログで拝見し、私が訪問するきっかけになりました。
私のより写真が上手いので是非ご覧ください。
撮り方、書き方は私が影響受けているので似てるかもしれません^^;

小串の夜明け(2013年)
小串の夜明け(2011年)







群馬B級スポット トップページ




一覧

みなかみ町

プラムの国
道の駅 水紀行館
釈迦の霊泉
若旅民具茶屋
土合駅 日本一のモグラ駅
高橋の若どり
沼田城下の塩原太助巡り
月夜野焼陶芸体験
麺zくるり
土合駅探検とカフェ駅茶mogura
野戦料理のドイツコーヒー夢
三国峠のクロソイド曲線碑

片品村

とうもろこし街道
白根魚苑

川場村

譽國光酒蔵観光と大吟醸ソフト

嬬恋村

愛妻の丘
嬬恋村・丸山農園漬物本舗のキャベツキムチ

長野原町

浅間とり牧場
時計とサービスの穴場食堂 樹(こだち)

草津町

香草温泉
草津熱帯圏
常布の滝下温泉

中之条町

薬王園
上州亭ヒタチヤ
四万温泉 スマートボール柳屋遊技場
市城砦南部郭の出丸跡
大人気!ネコの家
秋鹿大影林道・万沢林道
ほづみとんかつ店のカツカレーラーメン
六合の秘湯、京塚温泉
辺境の穴場うどん 美野原茶屋

東吾妻町

観音山(滝峨山)の金堀穴
あづま養魚場のギンヒカリづくし
みそ膳の抹茶ラーメン

高山村

たかやま高原牧場

沼田市

迦葉山龍華院弥勒寺
薗原ダムキャンプ場跡
群馬随一のロングダート、栗原川林道
尾瀬市場 利根本店
エルベのスープ納豆パスタ
野球神殿とレストラン久貴の沼田ステーキ

昭和村

赤城高原SA(上り)のトマQソフト
山田商店のカレーうどん

渋川市

棚下不動の滝 雌滝雄滝
上りに見える下り坂
たけ屋うどん店
赤城町の牛すじ家
レーシングカフェ 「D'z GARAGE」
渋川駅前 純喫茶ルナ
伊香保の台湾系巨大寺院、佛光山法水寺
上州村の駅のこんにゃくグルメ
ワシノ巣風穴
赤城町のキムチ専門店コリアン・フーズ
きのこ茶屋
川魚グルメ館くるまのウグイ料理
渋川市石原・馬頭公園の馬頭観音

吉岡町

ペペオレンジ吉岡店
珍宝館
命と性ミュージアム
鹿火屋
水沢歴史美術館
八角墳の三津屋古墳

榛東村

ガラメキ温泉
卯三郎こけし
榛東村のレトロ自販機、湯浅屋
しんとう村のぐんまちゃん焼のお店

前橋市

キートンの巨大パフェ
近戸神社 群馬県最古の狛犬
いろは美術館
パンプキンの巨大パフェ(?)
創作めん工房 藤家
赤城山南麓 夜景パノラマ展望台
ホワイト餃子 前橋店
わくわく自販機ミュージアム
赤城山第一スキー場
梅田のバナナ
赤城山頂天空ノ駅舎カフェ
プロレスラーMAZADA選手のお店「ステーキまさやん」
お花を食べて女子力アップ!はな工房&花カフェ
蛇穴山古墳と宝塔山古墳の素晴らしき石室
プロレスラー浜亮太選手のお店「どすこいうどん浜ちゃん」
喫茶 ぶちの店
マシュマロパンダ
鼻毛石の鼻石

高崎市

洞窟観音
鼻高展望花の丘
群馬の松
世にも不思議な木
上毛野はにわの里公園
一郷山城
まちのくまさんのラーメンケーキ
少林山達磨寺
観音山丘陵の百庚申巡り
渓流魚料理専門店 魚籠屋(びくや)
ジョジョファン必訪!麺屋 承太郎
高崎電気館で映画鑑賞
肉の寺田(寺田精肉店)
日本茶中国茶の喫茶店 茶楽人
観音山公園ケルナー広場
蔵の中の喫茶店、日本茶喫茶「棗」
激渋食堂 レストラン三好
倉渕水沼公園のトレランコース
ふくろうカフェ楽園
川上産業のプチプチ自販機
榛名十文字ミートの肉汁うどん
プロレスグッズ専門店・リングサーチ
ペルシャ料理トランジで水タバコを嗜む
群馬最速バッティングセンター!?「榛名スポーツセンター」
JAMCOVER VILLAGE(ジャムカバーヴィレッジ)
上野国国分寺跡

安中市

碓井川熱帯植物園
無法地帯
板鼻館 タルタルカツ丼
小根山森林公園
海雲寺 招き猫の寺
モツ煮の名店 越後屋食堂
おぎのや資料館
ピーパック安中 飯島屋
玉屋ドライブイン
秘境駅 安中榛名駅
米山公園サーキット場
自動車に乗る観音様!?龍昌寺と世界乗り物館
郷原の炭酸泉
全性寺のゴルフ観音
松井田商店街のサンタクロース群
安中の無人アウトレット市場
松井田町高梨の百庚申
あんかけ焼きそば富ちゃん
裏妙義縦走

富岡市

南蛇井のおきなわ屋
大桁湖
妙義神社の竹林七賢人
旧茂木家住宅
酪農家手作りアイス工房じぇら21
表妙義縦走

甘楽町

こんにゃく博物館
多目的ガレージ カーロマン
長厳寺の巨大磨崖仏
多目的ガレージ カーロマン2
子どものおもちゃ資料館
甘楽のアダルト保育園

下仁田町

中之嶽神社 日本一大きい大黒様
神津牧場
茂木ドライブイン
きのこ館
くるまやの「しもにた丼」
下仁田の炭酸カルシウム乾燥小屋
下仁田ねぎぼうず園
下仁田の百庚申巡り
下仁田の個性的橋梁群
道の駅しもにたの下仁田ネギグルメ

南牧村

威怒牟畿不動 崖っぷちの不動様
南牧村の炭ラーメン
南牧村のお炭つきまんじゅう
南牧村の炭入りピザ
南牧村の石垣文化
黒滝山不動寺
南牧村熊倉の人面石
高原運動広場
焼きまんじゅう南牧
秘境の本格ハーブティー はなもも
なんもく村のちょっとしたcafe
秘境!南牧村の山賊ラ-メン
蘇った南牧村の温泉、星尾温泉・木の葉石の湯
南牧村に新規開店!Cafe Big Mom
南牧村小ネタ集

上野村

旧黒澤家住宅
峠のうどん屋 藤屋
JA上野村 焼肉センター

神流町

御荷鉾のエクスカリバー
恐竜王国中里
神流川鮎神社

藤岡市

名無村
下久保ダムのダムセイバー

玉村町

県央水質浄化センター緑地広場のマンホールコレクション

伊勢崎市

小泉稲荷神社
伊勢崎もんじゃ サッちゃんち
群馬一標高が低い山 権現山
新伊勢崎名物 いかパン
自販機食堂
島村渡船
堀込青果のフルーツシェイク
「くしや」の変わり焼きまんじゅう
名のない駄菓子屋
伊勢崎神社
群馬発コンビニチェーン・さくらみくら

太田市

祥寿山曹源寺(さざえ堂)
藪塚石切り場
ジャパンスネークセンター
三日月村
縁切寺満徳寺
岩崎屋の黒焼きそば
金山城
ガチの駄菓子屋 おかしやさん
もみの木の焼そば丼
新太田名物!かわとみの「なすの蒲焼重」
ピンボールのサルーン
喫煙者の聖地・パイプ塚

桐生市

ふる川のひもかわ
河童神社
成田山赤城寺
桐生名物コロリンシュウマイ
麺者侍のニンニクラーメン
水沼駅温泉センター
道の駅くろほね・やまびこの「朝たまごはん」
武正米店の子供洋食
万里の肉丼
喫茶ガス灯
猿川温泉スタンド
田沼屋の変わりひもかわ

みどり市

けさかけ橋
花輪の美味しいうどんの自販機
特許変わりうどん かみ村六庵
にほんいち醤油 岡直三郎商店
藤瀧不動尊のヒトガタ
貧乏神追放神社
ながめ余興場
自音寺八十八霊場でミニお遍路
円空茶屋の巨大円空彫薬師如来像
ところ天の助を祀る!深沢の角地蔵
みどり市の太郎神社
ねじり木奉納 はね瀧道了尊
旧花輪小学校記念館

大泉町

ブラジルタウン大泉町
浅見薬店
活きな世界のグルメ横丁
ブラジルタウン大泉町2
肉地獄!プリマヴェーラのシュラスコ食べ放題
巨大ハンバーガー!TOMIのメガトミ

邑楽町

シンボルタワー未来MiRAi

千代田町

赤岩の渡し

館林市

分福茶釜の茂林寺
日清製粉 製粉ミュージアム
大盛りうどんとおもちゃの一升や
子神社 足腰の神社

板倉町

板倉町中央公民館の昆虫千手観音像
板倉町の雷電神社
いなかっぺのマヨネーズラーメン

群馬県

群馬の性神

コラム

毛無峠キャンプ 小串の夜明け
万座温泉豊国館 湯治の旅
石畳の小さな温泉街 湯宿温泉