訪問日:2014/7/14
南牧村のメインストリートである県道45号から逸れ、大塩沢へ向かう県道202号に乗り換える。
見事な石垣で組まれた段々畑を両脇に見ながら、南牧村情緒豊かなクネクネ道を右に左に揺られながら進む。
後半は急な九十九折が続き、思わず1速を使う程の急坂だった。
そんなこんなで辿りついたのがここ、黄檗宗黒滝山不動寺。
黒滝山の険しく複雑な地形に建てられた、下界の喧騒届かぬ山深くのお寺。
深山幽谷の静寂に包まれる隠れた名刹と言えよう。
今まで来た事なかったので今回初めての訪問。
ちなみに、参拝客用の駐車場はここより数百メートル下にあります。
我々はバイクだったのでちゃっかり頂上に停めさせて頂きました。
まず鐘堂が目に入ったので行ってみる。
”この梵鐘には戦艦陸奥の羅針盤が合鋳されています。
世界平和と災害のない世の中を念じてお撞き下さい。”
何!?
戦艦陸奥の羅針盤が使われている!?
そいつはスゲェ!!
戦中の歴史は詳しくないので戦艦陸奥についてちょいと調べてみると、
・1918年:起工。
・1920年:進水。
・ワシントン海軍軍縮条約下、長門と共に「世界七大戦艦」の一つとして数えられた。
・1934~36年:大改装。
・1943年:主砲火薬庫爆発を起こして沈没。
・1970年:サルベージ開始。
→サルベージされた装備は分割され日本各地の博物館で展示されている。
という事で、サルベージされた部品のうち、羅針盤がどういう縁があってか、ここ不動寺で鐘楼として再利用される事になったらしい。
鐘楼を見ていると住職さんがやってきて色々説明してくれた。
自由に撞いて良いとの事なので撞かせて頂く事にした。
住職さん曰く「山奥なので好きなだけ撞いてくれ」との事。
なるほど、思えば近隣を気にせず鐘を撞けるってのは珍しいな。
山寺であるが故のことだな。
「ゴーンーーーー・・・・・」
と、重厚かつ上品な音が周囲の山に響き渡る。
うーん、いい音だ。
この鐘に戦艦陸奥の魂が宿っていると思うと重みも感じる。
合掌(なむなむ)。
鐘を撞いた後、立つ場所によって音が違って聞こえるらしく、住職さんに良く聞こえる場所などを教えて貰って聴き比べをした。
同じ鐘の音でも鐘堂の周りとグルっと一周しながら聴き比べると、実に様々な音に変わって面白い。
「ごゆっくり」と住職さんに見送られて本堂の参拝へ。
不動寺は檀家を持たない禅の修行場らしく、この山深くで座禅を組み、悩める人々を導いてくれる。
このご時世、檀家がいないにも関わらず存続できるのは相当信仰が篤いのだろう。
いつか私も座禅を組ませて頂ければと願う。
お札や、住職さんの描いた書画や小物を展示する画廊。
不動寺では要予約で普茶料理と言われる精進料理を頂けたり、宿泊や禅の修行が出来る。
我々は訪れた前日はどこかの空手部が合宿に来ていたらしい。
画廊を抜けると大きな杉の木が現われた。
「黒滝山の大スギ」と言い、説明板を要約すると
このあたりは岩山の多く、巨木が育ち難い。
これだけの大木に成長するには数百年の年月を必要とする。
との事らしい。
山門をくぐると不動堂が見えてきた。
奉納された旗は真新しく、多くの奉賛者がいるようだ。
不動堂。
切り立った岩壁を背に、険しい山の中にひっそりと佇む。
静かな境内に見事な建築、素晴らしい。
崖の僅かな土地を縫うような境内は、まるで空を歩いているような気分になる。
静かで穏やかで、それでいて力強く、とても居心地が良い。
不動の裏には竜神の滝と不動明王が鎮座していた。
修行者はここで滝に打たれ雑念を払う。
細かい見所は多数ありますが書き切れないので省略。
あまりに盛りだくさんで、終始「すげー!すげー!」と言ってました。
不動堂から大雄寶殿を望む。
この建物には「大雄寶殿」や「潮音大学」などと書かれている。
大雄宝殿とは明朝の呼び方で、日本では金堂・本堂に相当する。
つまりここが本堂。
黒滝山不動寺の流派である黄檗宗は、臨済宗・曹洞宗に並ぶ禅宗の一つ。
臨済宗・曹洞宗と比べて黄檗宗は明朝の様式を多く残している(高崎の少林山達磨寺も黄檗宗ですね)。
本堂を抜け、どん詰まりまで行くと「開山堂へ」と書かれた道を発見。
見所が多すぎる・・!
嬉々として階段を駆け上がる。
開山堂。
おお~、素晴らしい。
南牧村に来ると石垣ばかり見てしまう。
綺麗に整形された石垣は惚れ惚れする程美しい。
黒滝山不動寺を開山した潮音禅師を祀る開山堂。
絶壁に囲まれた空間に建てられたお堂は霊験を感じずにはいられない。
この石灯篭の彫刻を見ておくれよ。
すげえだろ。
こういうの大好物ですはい。
一通り見て周り、名残惜しく下山する。
今まで行った寺院の中で一番良かった。
是非また来たい。
甘楽一帯のスタンプラリーをやってるらしく、パンフレットを貰ってスタンプを押した。
スタンプが溜まると抽選で温泉宿泊券とかが貰えるらしく、なんだか当たる気がするので集めてみよう。
また、住職さんが描いたオリジナルしおりを頂き(写真中央)、大満足のお寺でした。
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