子神社足腰の神社

住所	群馬県館林市赤生田町2215
TEL	-
開門時間	-
定休日	-
料金	わらじ奉納500円
公式サイト	-

訪問日：2015/3/15

館林の子神社（ねじんじゃ）にやってきた。
ここは全国でも珍しい「足腰の神様」を祀る神社。
私は足腰には自信があるが、更なる健脚を目指して参拝してみた。

偶然にも今日は縁日。
境内は地元民で溢れ、「地元の祭り」特有の穏やかな空気で賑わっていた。

さて、ここは足腰の神社。
足腰の健康を祈願してステンレスの草鞋(わらじ)が奉納されている。

基本的には足腰関係の事が書かれているが、中には全く関係ない病気の快癒を願ったものも。

草鞋は社殿を取り囲むように大量に奉納されていた。

更には車道際の垣根にも草鞋がたくさん。

私も一つ奉納していこう。
参道の途中に無地の草鞋とマーカーペンが置かれていた。
案内を読むと、賽銭に500円入れれば勝手に書いて良いそうだ。

何を願えば良いか浮かばず、漠然としたものになってしまった・・。
もっと具体的に「膝軟骨があまり擦り減りませんように」とかの方が良かったか。

由緒書を見る。
明治以前の神仏習合の頃は「子ノ権現」として祀られ、神仏分離後の現代では「大己貴命」を祭神として祀る。
健脚の大己貴命にあやかり何百年も前から鉄の草鞋を奉納している。
との事。

子神社の「子」は干支の「子(ね)」であり、つまりネズミを意味する。
何故ネズミかと言うと、ネズミが祭神の大己貴命の遣いとされる事に由来する
社殿各所にはネズミの装飾が見られ、拝殿の神前幕にはネズミの印が入っていた。

彫刻には米俵を荒らすネズミが彫られている。
神の遣いの筈だが見るからに害獣。

鬼瓦にもネズミ。
細部まで手が込んでいた。

大己貴命に鉄の草鞋を奉納する習慣は今まで聞いた事が無い。
それに草鞋とネズミの関係はあるのか。
気になって調べてみたので、一応その結果をここに書き記すとする。

※以下、推測を含みます。

子神社は由緒書にある通り、明治以前は「子ノ権現」として崇められ、神仏分離後は「子神社」に変更された。
まず神仏習合時代の「子ノ権現」、これは埼玉県飯能市の天龍寺が源流にあると思われる。
天龍寺でも子ノ権現を祀り、鉄の草鞋を奉納する習慣がある。
天龍寺の縁起を公式サイトより引用すると

延喜十一年（九一一）六月十三日、子ノ聖が初めてこの地に十一面観音をお祀りし、天龍寺を創建されたことに始まります。その後、弟子の恵聖上人が子ノ聖を大権現と崇め、子ノ聖大権現社を建立されました。現在の和歌山県天野の地に生まれた子ノ聖は、生来才知するどく仏教に通じ、生誕が子年子月子日子刻であったため人々に子ノ日丸と呼ばれ、長じては各地行脚の後当山を開かれました。聖は昇天の折、「我、化縁につきぬれば寂光の本土に帰るべし。然れども、この山に跡を垂れて永く衆生を守らん。我登山の折、魔火のため腰と足を傷め悩めることあり。故に腰より下を病める者、一心に祈らば、その験を得せしめん。」と誓いをたてられました。以来、足腰守護の神仏として信仰されています。

とある。
つまり「子ノ聖大権現」が足腰信仰の元と言えよう。

ではネズミはどこから来たのか。
それは明治の神仏分離の際に「子」繋がりで「子ノ権現」から「子神社」に名称変更した事に由来すると思われる。
全国には子神社がいくつかあり、特徴としては祭神の大己貴命の遣いである子(ネズミ)の装飾が多く見られる。
しかし当然ながら本来の子神社には足腰の信仰や鉄の草鞋を奉納する習慣は無く、仕方なしに「旅好きで健脚の大己貴命にあやかって～～」という伝説を作って足腰の信仰を残したのではないかと考える。

つまり大己貴命の伝説は明治以降の創作だが、足腰の信仰自体は古来からの風習と言える。
しかし、本来は「子ノ権現」に奉納する筈の草鞋は、今では無関係の「大己貴命」に奉納しているので、御利益の程は定かではない。

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