訪問日:2017/9/24
2018年頃、麺処大日向は閉店しました
聞いた話によると剣道の指導に力を入れるとの事です。
通い慣れた南牧村の通りに見知らぬ看板が見えた。
看板には「山賊ラーメン」と書かれ、どうやら新規飲食店が開店したようだ。
しかしながら日本一過疎化が進む南牧村で今更新規オープンとは、果たして営業が成り立つのかと、頭の中は疑問符でいっぱいだ。
ともあれ南牧村ファンを自称する私は、度々訪れる同村で食事の選択肢が増える事は喜ばしい事だと、ワクワクしながら早速訪れる事にした。
大日向から大通りを大仁田ダム方面に曲がり、人通りの少ない細い道を山の奥へを入り込むとその店舗が現われる。
失礼な言い方だが「なぜこの場所に?」という立地だ。
2017年8月9日にオープンしたばかりの飲食店。
屋号は「麺処 大日向」というようだ。
怪しい風体だが確かに営業中の札が掛かっている。
恐る恐る扉を開けた店内の内装はスナックそのものだった。
ここは本当にラーメン屋か??
天井にはミラーボールが設置され、部屋の隅にはダーツもある。
見た目は完全に夜の店の内装だ。
怪しい、怪しすぎるぞ!?
メニューは
- 山賊ラーメン:800円
- きんぴらラーメン:600円
- ぎょうざ:200円
の三種のみ。
ラーメンは全てライスセットとなっている。
山賊ラーメンを売りにしているので私は「山賊ラーメン」を注文。
しばらくしてラーメン着丼。
おー、これはまた変わったラーメンだ。
野菜出汁が効いた塩ベースのコクのあるスープに、麺はこだわりの自家製麺を使い、トッピングで山賊焼きとキンピラと紅ショウガが乗せられている。
山賊焼きとは鶏肉の炙りの事のようだが、ぷりぷりで柔らかくジューシーで濃厚、これがまた美味い。
そしてキンピラを入れるのが風変わりだがこれもまたスープ麺によく合う。
個人的に気に入ったのがトッピングの紅ショウガ。
時間の経過と共にスープに紅ショウガが絡んでいき、初めは乳白色だったスープが薄紅色に変わり、
優しい味から紅ショウガの辛みや酸味の効いた特徴的な味に変化していく。
このように味が変わっていく食べ物は好物です。
ご主人から聞いた話によるとやはり紅ショウガは好評のようで、かくいう私もスープが美味しくて全部飲んでしまった。
何て言うんでしょう、不思議と病み付きになる止まらない美味しさです。
ラーメンには芋御飯と漬物も付いてくるのでとてもお得で満足度が高い。
この芋御飯も美味しく、ホクホクの甘いサツマイモと胡麻塩の塩気がちょうど良い塩梅であっと言う間に平らげてしまった。
ちょうど我々が本日最後の客だったようで、忙しく動き回っていたご主人も一段落着いたようなのでちょっと話しかけてみた。
調理中は黙々と厨房で作業をしていたので頑固一徹な寡黙な職人肌な人かと思っていたが、これがどうもお話し好きな人で、食後に随分と話し込んでしまった。
お店のオープンの経緯や味へのこだわりに始まり、ついには人生についてまで話は飛躍していく。
元々国鉄職員だったご主人は退職して富岡で蕎麦屋を経営していたが、とあるきっかけで南牧村に移り住みこの場所でスナックを経営する。
そう、やはりこのお店は元スナックなのだ。
南牧村にスナックがあったこと自体驚きだが、実際は地元民の溜り場のような役割で、激安料金でカラオケなんぞを提供していたそうだ。
そしてスナックを改装し、2017年8月に心機一転ラーメン屋をオープンさせる訳だが、
御年72歳にしての新規オープンに対して「いったい何やってんだか」なんて苦笑していたご主人、
しかし私には分かる、後悔の影を微塵も感じさせない楽しそうなその顔、この人は人生を楽しんでいる人だ。
話を深く聞くと挑戦続きの波乱万丈な人生のようで、しかしそれが楽しいそうだ。
何でも、ご主人は剣道の達人でもあり、最近にして剣道七段を取得したという。
いや剣道七段って滅茶苦茶すごい。
ご主人は十数年間昇段試験を受け続けても合格できなかったそうだが、ちょっとしたきっかけでヒントを見つけ、それを実践したら見事七段の合格に至ったという。
「気が付かなければ一生昇段できなかっただろうな」と言い、我々にはその所作を特別に見せてくれたが、気になる人は実際に行ってご主人に見せて貰うと良いだろう。
お話は続き、外に出て面白い裏話を聞かせてくれた。
屋号の「麺処 大日向」だが、「ラーメン 大日向」ではなく「麺処」としたのは、ラーメンに飽きたら屋号を変えずにうどんやそばにジョブチェンジできるようとの事らしい。
そして良く見るとスナック時代の「来来(ライライ)」の文字も見える。
山賊焼きはここで仕込むらしく、炭火で下から、バーナーで上から炙る事によって肉汁を閉じ込めたジューシーな肉になるそうだ。
他にも色々お話を聞くがなかなかこだわりが強いぞ。
ずいぶん話し込んじゃって、結局食後に1時間以上お喋りしてしまいました(笑)
いやー、ご主人面白い!
南牧村の道の駅「オアシスなんもく」にもチラシを置き始めたそうで、これを見て意外と多くの人が訪れると言う。
営業時間が11:00~15:00なのでランチ営業だけなのでご注意を。
秘境の地の神秘的な味わい、そしてアツいご主人、とっても楽しかった!
ごちそうさまでした!
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