訪問日:2016/8/18
神社の掲示板に気になる映画のポスターが貼ってあった。
たまには映画でも見ようかと、電車に乗り高崎へ向かった。
向かう映画館は高崎電気館。
そこで映画を見るのは初めてだ。
地図を見ながら高崎中央銀座通りを進み、大雪でぶっ壊れたアーケードに差し掛かかる場所で左に折れる。
高崎中央銀座に直角に交わるこの通りの名は「電気館通り」
この先に私が今日見る映画館がある。
細い路地に突如現れた大きな建物。
ここが高崎電気館、初めて来たがとてもレトロ。
建屋には古めかしいネオン灯が付けられている。
いかにも昭和の映画館といった風合いだ。
1913年(大正2年)、高崎電気館は高崎市初の常設映画館として柳川町に開館。
北関東でも有数の歓楽街であった柳川町のシンボル的存在として長く人々に親しまれた。
現在の建物は1966年(昭和41年)の全面改装により新築された地下一階・地上四階の鉄筋コンクリート製の建物であり、
時代により経営者は変わりながら近年まで営業を続けたものの、2001年(平成13年)に遂に高崎電気館は閉館となった。
しかし閉館から13年が経った2014年、所有者である広瀬氏より高崎市へ建物が寄贈され、高崎電気館は「高崎市地域活性化センター」として再開館される事になった。
当時の姿のまま再び上映できるのも、閉館後も小まめな管理を続けた所有者の尽力によるものだ。
下記の記事などを読むと高崎電気館を巡る経緯や関係者の情熱を感じ取れて良い。
高崎電気館 | 港町キネマ通り
電気館への熱い思いが結実 | 高崎新聞
(PDF注意)高崎電気館が開館します | 広報高崎2014年9月15日号
一度は閉館した映画館で再び映画を見られるとは・・。
合理化ばかりが叫ばれる現代でこのような取り組みが出来るのは、やはり高崎市が文化的に豊かな街だからだと思う。
毎日上映している訳ではないので興味のある人は公式サイトを見るべし。
高崎電気館 - 上映スケジュール
ちなみに今日見るのは「野火」、戦争映画らしいが事前情報無しで行ったので楽しみ。
チケットの値段は作品によりまちまちだが私は一般で1000円だった。
それでは入ってみよう。
何もかもがレトロで、懐かしいような落ち着くような、そんな気持ち。
階段の踊り場に高崎電気館の昔の写真があった。
ガメラVSバルゴン、1966年の作品だ。
つまりこの写真は1966年の全面改装を終えた時の写真、今の建物が出来た年の写真だ。
フロント前には古い映写機が置かれている。
元々二台あった映写機のうち、一台はレストアして現役で使用し、もう一台は展示しているらしい。
さて、そろそろ上映時間だ。
係員に促され一つだけのスクリーンへ入る。
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シアターの座席は閉館時のままだった。
椅子の背には協賛の企業の名前がそれぞれ書かれているが、今はもう廃業した企業も多いと言う。
座席数は256席、お客さんは20人程度。
客層は年配の方が多く、そのほとんどのが一人客。
例えばイオンシネマに一人で行くとなんだか落ち着かないが、ここはどうにも一人で行っても馴染む。
むしろここは一人で来たい映画館だ。
今回見た映画は戦争映画だったので面白いという感想ではないが、戦争のリアルを知れる大変考えさせられるものだった。
ともあれ、レトロな映画館で映画鑑賞を楽しめるとは、なかなか貴重な体験である。
上映作品も妙にマイナーなので私好みだ。
気に入りました。
また来ます。
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高崎電気館の帰り道、「シネマテークたかさき」の写真も撮ってみた。
場所は高崎駅西口の通りにあり、西口ガストの近くと言えば分りやすいだろう。
実は「シネマテークたかさきき」も「高崎電気館」も同じNPO法人が運営している。
群馬に馴染みのある監督や俳優の出演する映画を積極的に上映したり、ラインナップが絶妙なのでやはり私好みだ。
少し前に、大崎章監督、渋川清彦主演の「お盆の弟」をシネマテークまで見に行き、とても面白かった。
シネマテークたかさき - 上映スケジュール
こんな映画館が群馬にあるのは嬉しい事だし、もっと多くの人に楽しんでほしいと思う。
ぜひ皆さん行ってみてください。
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余談にはなるが高崎中央銀座にある「オリオン座」も、何か再利用が出来れば良いのだが。
このまま朽ちるには些か不憫である。
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